先月から休業中のお店に、ひとりの訪問者がありました。
これは、休業中の4月のある日に交わされた、訪問者との会話のこと。
担当者さんと、久しぶりに仕事のお話
お世話になっている卸業の担当者さんが、取引先のご挨拶周りにあわせて電話をくれ、わざわざ自宅までお越しくださいました。
3月、4月は、担当者さんが入れ替わる時期です。
新旧担当者さんは、ともに頼れる存在でありがたい
先月は、前任の担当者さんがご挨拶に来て下さいました。取り引きの小さな当店にも、必ず毎回寄って情報を提供してくださる担当者さんで、頼りにしておりました。お世話になりまして、ありがとうございました。
今回からいらっしゃるのは、新しい担当者さん。
実は、初めましてではございません。
主人が独立する前の担当者さんで、私も一度だけご挨拶したことがあります。すごくいい人なのだと教えてもらっていました。
そのおかげで、気兼ねなくお話することができました。
休業中であることを心配してくださっており、家庭の事情でいつまで休みが続くかわからない、とお伝えすると、
「色んなご事情があるかと思うので、ご自身のペースでいいと思います。いつでも再開した時に、連絡もらえたら大丈夫ですよ」
こちらの状況を慮った、ほどよい距離感を保った言葉に、ホッとしました。
今年の心配は、小豆の作柄
ほどなくして、最大の懸念事項について話は及びます。
「小豆」
今年に入って、ずっと私の頭を悩ませていたものです。
今年のお豆は、去年の秋に収穫されたものです。気象などが起因した作柄が、穀物全体の問題となっているようです。炊いても硬いままのお豆が、多く混じってしまっておりました。
普段の仕事にお豆の選別作業が加わり、お豆を炊き上げるまでに、これまでの倍以上の時間を要しました。そうして炊いたお豆であっても、硬いものが混じるのです。
他のお店の事情を伺うと、粒の食感をあまり残さないところは、炊き上げる時間等を調整して、当店のようには重い問題となっていないようでした。
それでも、時間も手間もかかるため、他のものがないのか、との声も多く上がっていたようです。
当店の餡は、お豆の味と粒感をしっかり残す炊き方で、それがこだわりでもあります。
単価は上がるものの、今より選別されたお豆があるそうで、再開したらそのお豆をお願いすることにしました。何でも話してみるものです。
ここでも、「どんなことでも、相談してください!」の一言が、本当に心強い。
こちらの立場を考慮した言動は、救われる思いがしますし、ありがたいことです。
担当者さんと、久しぶりに主人のお話
担当者さんの、主人への心情が嬉しかったこと
一通り仕事の話が済むと、話題は主人のことになり、担当者さんが主人とのこれまでを色々と教えてくださいました。
歳も近く、店番をする主人に会いに来ては趣味から仕事の話まで、多くを重ね、思い入れのある存在だったこと。
主人の入院を知った際には、会いに来たかったものの、気兼ねして出向けなかったこと。
こんな風に、5年経っても、主人のことを思い出してくださる方がいることに、感謝の気持ちと、主人の生きざま・人柄を想いました。
かえりしな、慣れぬ土地のどこで手に入れたのか、主人のためのお花を渡してくださいました。
今できることは何でもしたい、主人を想う気持ちがとても伝わり、温かい気持ちになりました。
主人が家族に送ってくれるサイン
おうちに入り、早速いただいた名刺とお花を、主人のもとへ。
「来てくれる人がいてよかったね。嬉しいね」
仕事を休んでからというもの、娘のこと、お豆のこと、今後の仕事への向き合い方、色んなことを考え悩む日々でした。
「大丈夫、どうにでもなるから」
「やれること、やっていったらいいけん」
「あなたは私とは違うのだから、あなたの作る菓子でいいんだから」
主人が私に伝えてくれていたこと、私を励ます声が、聞こえた気がしました。
見かねた主人が、担当者さんを引き寄せてくれたようです。
これまでも、ここぞの時には、お客様の声をかりて、私にエールを送り続けてくれていました。
5年経った今も、私たち母子を見守ってくれています。
さみしがりな主人は、私たちがちゃんと気づくことのできるサインを出してくれます。
「いつでもそばにいるって言ったでしょう」
そんな誇らしげな声も、聞こえてきそうです。
キャンドルのゆらぎにも、メッセージをキャッチ出来た気分。ここまでのお付き合い、ありがとうございます。
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